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片頭痛の予防注射、アジョビの実際の効果はどうなのか? 海外データと日本のデータから解説

「片頭痛の予防注射に興味はあるけれど、実際のところ本当に効くのだろうか」
そう感じている方は少なくないと思います。

新しい治療には期待がある一方で、気になるのはやはり実際にはどのくらい効果があるのか、そして自分にも合う治療なのかという点ではないでしょうか。臨床試験で良い結果が出ていても、日常生活の中で使ったときに同じような効果が得られるのかは、とても大切なポイントです。

アジョビ®(フレマネズマブ、以下アジョビ)は、片頭痛予防の選択肢として注目されている注射薬です。CGRPという片頭痛に関わる物質に作用し、片頭痛が起こる頻度を減らすことを目指します。月1回の投与に加えて、3か月ごとの投与も選べるため、生活スタイルに合わせやすい治療です。

今回は、海外で行われた代表的な研究であるFRIEND studyFRIEND3 study、そして日本で行われた研究をもとに、アジョビが実際の診療でどのように使われ、どのような効果が期待できるのかを見ていきます。海外の12週間の研究では、アジョビは有効性、安全性とも良好な結果でした。さらに48週間の長期研究でも、複数の予防治療がうまくいかなかった方を含めて、効果の持続が確認されています。日本の24か月観察研究でも、良好な有効性が示されました。

海外の実臨床データで見えてきたこと

まず注目したいのが、イタリアで行われたFRIEND studyです。これは9つの頭痛センターで行われた12週間の前向きコホート研究で、高頻度反復性片頭痛(月の頭痛回数が15回未満)と慢性片頭痛(月の頭痛回数が15回以上)の方を対象に、アジョビの実際の治療成績を調べたものです。53人の有効性解析では、高頻度反復性片頭痛(HFEM)で月間片頭痛日数が平均4.6日減少し、慢性片頭痛(CM)では月間頭痛日数が平均9.4日減少しました。高頻度反復性片頭痛の方、慢性片頭痛の方とも投与開始4週間後より頭痛回数の減少がみられました。

この結果が意味するのは、頭痛日数だけでなく、鎮痛薬の使用回数、痛みの強さ、生活への支障まで改善している点です。これらは、実際に治療を受ける方々にとって大きな意味があります。

同時に50%反応率(頭痛の日数が半分になる)が50%近く、100%反応率(頭痛がなくなる)が2%近くであった、ということは片頭痛をお持ちの方に治療を受けていただく後押しをする結果でした。

さらに、その長期成績をみたのがFRIEND3 studyです。48週時点の解析では、高頻度反復性片頭痛の方で月間片頭痛日数が平均6.4日に減少し、慢性片頭痛の方では月間頭痛日数が平均14.5日に減少しました。50%以上の改善率は、高頻度反復性片頭痛で75.5%、慢性片頭痛で71.6%と高く、1年近く治療を続けても重い副作用は少なく、治療中止例もなかったと報告されています。

ここからわかるのは、フレマネズマブは短期的に効くだけでなく、長く続けたときにも効果が保たれやすいということです。しかも、治療が難しかった方でも十分に効果を期待できる可能性がある点は、とても心強いところです。

日本人のデータではどうだったのか

では、日本の実臨床ではどうでしょうか。

片頭痛の予防注射であるフレマネズマブが、実際の診療の中でどのくらい効果があり、安全に続けられるのかを調べました。対象となったのは、反復性片頭痛や慢性片頭痛の患者さん165人で、平均して約1年以上(最長2年)にわたって経過を追っています。(Suzuki S, Suzuki K, Haruyama Y, Fujita H, Shiina T, Kobayashi S, et al. A real-world study of the efficacy and tolerability of fremanezumab in migraine patients with a median follow-up of 14 months. Neurol Res Pract. 2025;7(1):37. doi:10.1186/s42466-025-00395-y.)

片頭痛の回数は、注射を開始して1か月後からすでに減少がみられました。


反復性片頭痛(1か月の頭痛回数が15日未満)の方と、慢性片頭痛(15日以上)の方のどちらでも効果は認められましたが、効果の出方には違いがみられました。

反復性片頭痛の方では、注射開始後1か月の時点から頭痛の回数がはっきりと減り、その効果はその後も安定して持続していました。つまり、比較的早い段階から効果を実感しやすく、その状態が続きやすいと考えられます。

一方、慢性片頭痛の方でも1か月後から改善はみられましたが、注射を続けていくことで、さらに頭痛の回数が減っていく傾向がありました。つまり、治療を重ねることで徐々に効果が強くなっていくことが特徴です。

このように、

  • 頭痛が月に15日未満の反復性片頭痛の方は、比較的早く効果を感じやすい
  • 頭痛が月に15日以上の慢性片頭痛の方は、治療を継続することでより大きな効果が期待できる

という違いがあることがわかります。

日常生活への支障も改善しており、仕事や家事、外出のしやすさにも良い変化がみられました。副作用は主に注射した部位の軽い反応が中心で、治療を中止しなければならなかった方はわずかでした。

このように、フレマネズマブは比較的早い段階から効果があらわれ、その効果が長く続きやすい治療と考えられます。片頭痛で日常生活にお困りの方にとって、安心して続けやすい予防治療のひとつといえるでしょう。

日本と海外の研究をあわせて見る意味

海外のFRIEND study、FRIEND3 study、そして日本のSuzuki らの研究を並べてみると、大事なことが見えてきます。
それは、日本のリアルワールドの結果(実際の治療成績)が海外の報告とよく一致しているということです。

海外では、短期でも長期でも効果が確認され、難治例や慢性片頭痛でも改善が期待できることが示されました。日本でも、同じように月間片頭痛日数の減少、慢性片頭痛の改善、忍容性の良さが示されています。結果の方向性がそろっていることは、実際に、この治療を受けるかを考えるうえで大きな安心材料になります。

つまりフレマネズマブは、臨床試験だけでなく、実際の現場でも効果が期待できる片頭痛予防治療として位置づけることができそうです。

こんな方に検討しやすい治療です

フレマネズマブは、特に次のような方にとって検討しやすい治療です。

片頭痛の日が多く、仕事や家事、外出の予定が立てにくい方:頭痛の日数そのものが減ることで、生活の見通しが立てやすくなります。
これまでの予防薬で十分な効果が得られなかった方:海外の研究では、複数の予防治療がうまくいかなかった患者さんでも効果が確認されました。
慢性片頭痛で悩んでいる方:慢性片頭痛の方はアジョビによる治療を継続することでより効果が高くなることが期待できます。
通院回数や生活スタイルに合わせて治療法を選びたい方:月1回投与と3か月ごと投与のどちらも選べることは、忙しい毎日の中では大きな利点です。

まとめ

フレマネズマブは、片頭痛予防の新しい選択肢として、臨床試験だけでなく、実際の診療現場でも効果と安全性が確かめられてきています。海外のFRIEND study では短期の有効性と良好な忍容性が、FRIEND3 study では1年近い長期効果が示され、日本のリアルワールド研究でも良好な成績が報告されています。

片頭痛治療で大切なのは、「ただ痛みを我慢する」ことではなく、頭痛のために崩れていた日常を少しずつ取り戻していくことです。
予定を立てやすくすること、仕事や家事に集中しやすくすること、外出や人との約束を気持ちよく迎えられること。そうした日常の変化につながる治療として、フレマネズマブは十分に試してみる価値のある選択肢といえるでしょう。

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