「また頭痛か……。いつもの市販薬を飲めば何とかなる。」
そのように片頭痛をやり過ごしている方は少なくありません。しかし、片頭痛は単なる「頭が痛い病気」ではありません。仕事や家庭生活に大きな影響を与え、社会全体にも莫大な経済損失をもたらしています。
2026年にファイザー株式会社が実施した全国調査では、働く世代の片頭痛患者さんの実態が明らかになりました。今回はその調査結果をもとに、「市販薬だけで我慢すること」の問題点と、医療機関を受診する大切さについてご紹介します。
「何とかなる」は、本当に何とかなっているのでしょうか?
片頭痛があっても、多くの方は仕事を休まずに出勤しています。
その理由として最も多かったのは、
- 「無理をすれば勤務できるから」
- 「市販薬を飲めば勤務できるから」
という回答でした。
しかし、そのように回答した人の約74%は、実際には欠勤・遅刻・早退や仕事のパフォーマンス低下など、何らかの悪影響を受けていました。つまり、「出勤できること」と「普段どおり働けること」は決して同じではありません。

片頭痛による経済損失は年間約1.5兆円
今回の調査では、働く人の片頭痛による経済損失は年間約1兆5,700億円と試算されました。
この中には、
- 欠勤や遅刻・早退による損失(アブセンティーズム)約9,500億円
- 出勤していても十分な能力を発揮できないことによる損失(プレゼンティーズム)約6,200億円
が含まれています。
片頭痛は本人だけの問題ではなく、企業や社会全体にも大きな影響を及ぼす疾患であることが分かります。

市販薬は使われていますが、「十分満足」はわずか2割
調査では、片頭痛患者さんの92%が市販薬を使用していました。
しかし、市販薬での対処に「満足している」と回答した人は21.8%にとどまり、多くの方は「やや満足」に留まる、あるいは不満を感じていました。
市販薬は一時的に痛みを和らげることはできますが、片頭痛そのものを起こりにくくする治療ではありません。そのため、毎月何度も頭痛を繰り返す方では、十分な改善が得られないことも少なくありません。

市販薬の飲み過ぎで頭痛が悪化することがあります
市販薬を繰り返し使用している方に知っていただきたいのが、「薬物使用過多による頭痛(MOH)」です。
これは頭痛薬を頻繁に飲み続けることで、かえって頭痛が起こりやすくなってしまう状態です。
一般的には、市販の鎮痛薬を月15日以上、あるいはトリプタン製剤などを月10日以上使用する状態が続くと、MOHのリスクが高まるとされています。
ところが今回の調査では、このMOHを「名前も内容も知っていた」と回答した片頭痛患者さんは約43%にとどまりました。半数以上は十分に知らないという結果でした。

片頭痛は「予防できる病気」になってきています
受診しなかった理由として最も多かったのは、「市販薬で対処できると思ったから」でした。また、「通院する時間や手間が負担」という回答も多くみられました。
一方で、「医療機関で適切に予防・治療できると分かれば受診したい」と回答した人は約87%に達しています。
近年は、CGRP関連薬をはじめとした新しい片頭痛治療薬が登場し、「頭痛が起きたら薬を飲む」だけではなく、「頭痛を起こりにくくする」予防治療が大きく進歩しています。毎月何度も片頭痛に悩まされている方は、市販薬だけで我慢せずに、頭痛の回数を減らす、頭痛の急性期治療薬が有効になる治療を行いましょう。

頭痛クリニックから一言
「市販薬が効くから大丈夫」と思っていても、月に何度も片頭痛が起こるようであれば、一度治療方針を見直すタイミングかもしれません。市販薬を繰り返し使うことで薬物使用過多という難治性の頭痛を引き起こすこともあります。
現在では、片頭痛は予防できる時代です。頭痛を我慢しながら生活するのではなく、仕事や趣味、ご家族との時間をより快適に過ごすためにも、ぜひ一度頭痛専門医へご相談ください。
出典
ファイザー株式会社. 働く人1,040名の片頭痛に関する経済損失額試算および意識調査結果(2026年5月).
片頭痛でお悩みの方は、一人で我慢せず、西宮市、芦屋市、神戸市東灘区地域で頭痛診療に力を入れるペインクリニック芦屋ピッコロ診療所当院までお気軽にご相談ください。適切な診断と最新の治療をご提案し、つらい頭痛の改善をサポートいたします。

