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腱板断裂=痛い、とは限らない。 60歳以上の3割に見つかる“無症状の断裂”

MRIで腱板断裂と診断される時代になりました

MRIや関節の超音波検査の進歩により、腱板断裂は以前よりも容易に診断できるようになりました。その結果、60歳以上の約3割の方に腱板断裂が認められることが分かってきています。

一方で、「腱板断裂=すぐに治療が必要」「手術をしなければならないのでは」と不安に感じる方も少なくありません。
本当に治療は手術が第一選択になるのでしょうか。

60歳以上の3割に腱板断裂が見つかるが、痛みがあるのは一部だけ

近年の研究では、60〜70代の約3割以上に腱板断裂が見つかることが報告されています。
つまり、腱板断裂は珍しい病気ではなく、年齢とともに多くの方に起こる変化のひとつと考えられます。腱板が切れていても、必ずしも症状が出るわけではありません。

実際に、腱板断裂が確認された方のうち、肩の痛みや動きの制限を感じているのは約3割程度とされています。つまり、「断裂=治療すべき病気」ではなく、「生活に支障があるかどうか」が治療判断の重要な軸になります。

腱板断裂とは?― 腱板(ローテーターカフ)の役割

腱板(ローテーターカフ)は、肩の奥にある4つの筋肉と腱の総称で、

肩関節を安定させる

  • 肩関節を安定させる
  • 腕を滑らかに動かす
  • 腕を挙げたり回したりする動きを支える

といった重要な役割を担っています。

腱板断裂の主な原因は加齢変化です

腱板断裂の原因には、以下のようなものがあります。

  • 加齢による変性(最も多い)
  • 長年の使用による摩耗
  • 転倒やスポーツなどの外傷

特に高齢者では、「知らないうちに腱板が切れていた」というケースも多く、症状が出ないまま生活している方も少なくありません。画像検査で断裂が見つかったからといって、すぐに手術が必要というわけではありません。

「断裂がある=痛みがある」ではないという事実

腱板断裂に対して、

「腱板が切れている=強い痛みが出る」
「腕が上がらなくなる」

といったイメージを持たれる方も多いかもしれません。

しかし実際には、60歳以上の約3割に断裂があり、そのうち症状があるのは約3割程度です。
つまり、60歳以上の方30人のうち、断裂があるのは約10人、その中で症状があるのは約3人という計算になります。

MRIは非常に有用な検査ですが、画像だけを見てしまうと必要以上に不安が強くなることもあります。

腱板断裂の治療選択―保存療法と手術の境界線

腱板断裂の治療は、大きく保存療法(手術を行わない治療)と手術に分けられます。

保存療法が向いているケースとして、以下に当てはまる場合、多くは保存療法が選択肢になります。

痛みが強くない

  • 痛みが強くない
  • 腕がきちんと挙がる
  • 物を持つ力が保たれている
  • 日常生活に大きな支障がない

保存療法には、

  • リハビリ(肩甲骨・腱板周囲の機能改善)
  • 腱板周囲の炎症を抑える治療(内服・症状が強い場合は注射)
  • PRPなどの再生療法
  • 内服や腱板周囲への注射で炎症が静まらない場合は動注治療も選択肢

などが挙げられます。

ただし、これらの治療の目的は、断裂した腱板が修復するわけではなく、肩関節まわりの状態を整え動きやすくすることです。肩の使い方を整え、代わりに働く筋肉を強化し、痛みを軽減することです。腱板断裂の範囲が大きい場合は手術治療も選択肢になります。

腱板断裂で手術を検討するサイン

次の項目が複数当てはまる場合、手術が治療選択肢に入ります。

  • 数か月以上症状が続く
  • 夜間痛が強く、睡眠に支障がある
  • 力が入らず、日常動作が困難(洗濯物・カバンを持てないなど)
  • 転倒やスポーツによる外傷性断裂
  • 年齢が比較的若く、活動性が高い
  • 断裂が大きく、進行リスクが高い

なお、手術後もリハビリは重要な治療の一部であり、回復には数か月単位の取り組みが必要です。

腱板断裂の治療に迷ったときの判断軸は「症状と生活」

治療選択に迷う場合は、次の視点で整理すると判断しやすくなります。

  • 痛みの程度
  • 生活への影響(夜眠れるか、日中の動作はどの程度できるか)
  • 腕がどこまで挙がるか
  • 断裂の大きさと年齢
  • 治療への意欲や生活目標

画像だけで判断するのではなく、医師と相談しながら決めることが大切です。

まとめ―腱板断裂は「症状」で治療を考える時代です

腱板断裂は、年齢とともに多くの方に起こる変化です。断裂があるからといって、必ず手術が必要なわけではありません

「症状」と「生活の困りごと」を基準に治療を選ぶことが重要です

肩の痛みや不安が続く場合は、まず適切な医療機関でご自身の肩の状態を正しく知ることから始めましょう。

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