冬や年末年始。
忙しさや寒さが重なるこの時期に、帯状疱疹(たいじょうほうしん)の患者さんが増えてきます。
「チリチリする痛みが左後頭部に出てきたがひどいだけ」
「右の背中がピリピリするけど、疲れのせいかな」
そう思って様子を見ていたら、数日後に赤い発疹が出てきてはじめて帯状疱疹と気づく――
そんなケースは決して少なくありません。
なぜこの季節に増えるの?
帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が原因です。
治ったあともウイルスは体の神経の中に潜んでおり、免疫力が落ちたときに再び活動を始めます。
この季節は
- 朝晩の寒暖差
- 仕事や家事の忙しさ
- 睡眠不足
- 年末年始のストレス
- 風邪や体調不良
などが重なり、知らず知らずのうちに抵抗力が低下しやすくなります。
その結果、ウイルスが再活性化し、帯状疱疹が発症しやすくなるのです。
最初は「発疹」ではなく「痛み」から始まる
帯状疱疹というと、赤い水ぶくれを思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし実際には、皮膚症状よりも先に痛みが出ることが多いのが特徴です。
例えば――
- 体の片側だけがピリピリ・チクチクする
- 肩こりや腰痛のような違和感
- 触れるとヒリヒリする
- 湿布や市販の痛み止めが効かない
こうした症状が数日続いた後、帯のように赤い発疹や水ぶくれが出てきます。
ポイントは、「必ず体の左右どちらか一方に出る」こと。
この“片側だけ”という特徴が、とても重要なサインです。
帯状疱疹は「神経の炎症と破壊」
帯状疱疹は、単なる皮膚の病気ではありません。
本質は、神経の炎症です。水痘・帯状疱疹ウイルスが神経の中で活発化するため、神経に炎症を起こし、傷をつけてしまいます。
皮膚に出る発疹は、その結果として現れているに過ぎません。
そのため治療が遅れると、
- 強い痛みが長く続く
- 皮膚が治っても痛みだけ残る
- 数か月〜数年続く「帯状疱疹後神経痛」になる
といった状態につながることがあります。
特に50歳以上の方では、神経痛が残るリスクが高まることが知られています。
早期治療が、その後を大きく左右する
帯状疱疹は、発症してできるだけ早く抗ウイルス薬を開始することが重要です。
一般的に、発疹が出てからできるだけ早いタイミング(目安として5日以内)に治療を始めることで、
- 症状の悪化を抑える
- 痛みを軽減する
- 神経痛の後遺症を減らす
ことが期待できます。
しかし、
「まだ発疹が出ていないから様子を見よう」
「そのうち治るだろう」
と我慢してしまうと、治療開始が遅れてしまうことがあります。
こんな方は特に注意
- 50歳以上の方
- 糖尿病などの持病がある方
- 最近強い疲労やストレスがある方
- 睡眠不足が続いている方
こうした方は、少しの違和感でも早めの受診をおすすめします。
「いつもと違う片側の痛み」に気づいたら
帯状疱疹の痛みは、我慢してやり過ごすタイプの痛みではありません。
適切な時期に治療を始めることが、その後の生活の質を守る大切なポイントになります。
✔ 片側だけのピリピリ
✔ 触れるとヒリヒリする
✔ 市販薬が効かない
✔ 数日続く違和感
これらに気づいたら、できるだけ早く医療機関へご相談ください。
早期診断・早期治療が、つらい痛みを長引かせない最大の鍵です。
参考文献
- 日本皮膚科学会. 帯状疱疹診療ガイドライン
- 厚生労働省. 帯状疱疹に関する情報
- Centers for Disease Control and Prevention. Shingles (Herpes Zoster)
- NIH MedlinePlus. Shingles Overview

