朝、ベッドから立ち上がった瞬間に
かかとにズキッと刺すような痛みが走る。
「少し歩けばマシになるから」
「立ち仕事だから仕方ない」
「年齢のせいだろう」
そうやって痛みを抱えたまま過ごしていませんか?
湿布、痛み止め、インソール、ストレッチなど多くの方で一定の効果はあります。
慢性化した足底腱膜炎では、傷んだ組織を修復しようとする過程で、足底腱膜の付着部周囲に異常な新生血管(もやもや血管)が形成されることが知られています。
足底腱膜炎とは?まずは正しく理解しましょう
足底腱膜炎は、かかとから足趾の付け根に伸びる足底腱膜(plantar fascia)に微小損傷と炎症が起こる疾患です。

主な症状
- 朝の一歩目が最も痛い
- 長時間立った後、歩き始めに痛む
- かかとの内側を押すと強い圧痛
疫学的には、一般人口の約10%が生涯で経験するとされます¹⁾。
特に40〜60代、立ち仕事の方、ランナー、体重増加がある方に多くみられます。
かつては「炎症性疾患」と考えられていましたが、近年では
慢性期には“変性(fasciosis)”の要素が強いことも分かっています²⁾。
③ なぜ長引くのか?鍵は「異常血管」
慢性化した足底腱膜炎では、超音波検査で**新生血管(異常血管)**が確認されることがあります。
炎症が長く続く
↓
組織修復のため血管が増える
↓
血管とともに痛み神経も増える
↓
軽い刺激でも強い痛みを感じる
このメカニズムは、アキレス腱炎やテニス肘などの慢性腱障害でも報告されています³⁾。
慢性化のメカニズム(模式図)
微小損傷 → 炎症持続 → 新生血管増殖 → 神経増生 → 慢性疼痛
この段階では、
- 湿布
- NSAIDs内服
- 安静
だけでは十分な改善が得られない場合があります。
④ 動脈注射(動注治療)という選択肢
そこで近年注目されているのが、動注治療です。
これは、かかと周囲の動脈からカテーテルまたは針を用いて薬剤を投与し、
痛みに関与する異常血管へ選択的にアプローチする治療です。
この治療は2014年にオクノクリニックの奥野祐次先生らにより開発されました。
当院はライセンス契約のもと実施しております。
特徴
- 手術ではない(低侵襲)
- 短時間で終了
- 局所治療のため全身負担が少ない
- 超音波で血管を確認し安全性に配慮
難治性足底腱膜炎に対する血管内治療の有効性は、国内外で徐々に報告が増えています⁴⁾。
従来治療との比較
| 治療法 | 主な目的 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 湿布・内服 | 炎症抑制 | 手軽 | 慢性期では効果限定的 |
| インソール | 荷重分散 | 再発予防 | 即効性は乏しい |
| ステロイド注射 | 強力抗炎症 | 即効性 | 組織脆弱化の報告あり |
| 動脈注射 | 異常血管への選択的治療 | 低侵襲・局所的 | 適応の見極めが重要 |
適応となりやすい方
- 6か月以上続くかかと痛
- 朝の一歩目が強く痛む
- 保存療法で改善しない
- 日常生活に支障がある
すべての方に適応があるわけではありません。
まずは超音波評価を行い、足底腱膜の炎症や血管の状態を確認します。
よくある質問
Q:1回で治りますか?
個人差があります。1回で改善する方もいれば、複数回行う場合もあります。多くは2回目までで軽快します。
Q:副作用は?
一時的な内出血や局所の違和感が起こることがあります。
Q:再発はしますか?
再発予防のために、体重管理・足部アライメント調整・ストレッチなどを併用することが重要です。
芦屋・西宮・神戸市東灘区で暮らす皆さまへ。
足底腱膜炎は「年齢のせい」ではありません。
慢性化する前に、
そして長引く痛みに悩んでいる方は、専門的な評価を受けてみてください。
参考文献
- Riddle DL, Schappert SM. Volume of ambulatory care visits and patterns of care for plantar fasciitis. Foot Ankle Int. 2004;25(5):303-310.
- Lemont H, et al. Plantar fasciitis: a degenerative process (fasciosis). J Am Podiatr Med Assoc. 2003;93(3):234-237.
- Alfredson H, et al. Neovascularisation in chronic painful tendinosis. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2001;9(4):233-238.
- Okuno Y, et al. Transcatheter arterial embolization for chronic musculoskeletal pain. J Vasc Interv Radiol. 2014;25(10):1479-1486.
※本治療は保険適応外となる場合があります。適応については診察のうえ判断いたします。

