ブロック注射による治療
「ピリピリする」「焼けるように痛い」
「服が触れるだけでつらい」
帯状疱疹の痛みは、単なる“発疹の痛み”ではありません。
神経そのものが、傷つけられ、炎症を起こすことで生じる“神経障害性疼痛”です。
帯状疱疹とは?
帯状疱疹は、水ぼうそうの原因ウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が体内の神経節に潜伏し、
加齢・疲労・ストレス・免疫低下などをきっかけに再活性化することで発症します。
- 皮膚に帯状の赤い発疹
- 水ぶくれ
- 強い神経痛
特に50歳以上で増加し、80歳までに約3人に1人が経験すると報告されています。
発疹は1〜2週間で改善することが多いですが、問題は「痛み」です。
発疹が治っても痛みが残る ― 帯状疱疹後神経痛(PHN)
発症から3か月以上痛みが続く状態を
帯状疱疹後神経痛(Postherpetic Neuralgia:PHN)と呼びます。
- 数か月〜数年続くことがある
- 夜眠れない
- 洋服が触れるだけで激痛
- 気分の落ち込み、活動量低下
痛みが長引く背景には、神経の過敏化(中枢性感作)が関与します。
つまり、脳と神経が「痛みを覚えてしまう」状態です。
一度この状態になると、治療は難しくなります。
だからこそ重要なのが、早期介入です。
神経ブロックとは?
神経ブロックは、神経の近くに局所麻酔薬や抗炎症薬を注入し、
痛みの伝達を遮断する治療法です。
単に「一時的に止める」だけでなく、
- 神経の異常興奮を抑える
- 交感神経の過活動を抑制する
- 中枢性感作を予防する
といった効果が期待されています。
特に有効とされるのは下記の通りです。
- 星状神経節ブロック
- 硬膜外ブロック
2009年のMakharitaらの研究(Pain Physician)では、
急性期に硬膜外ブロックを行った群でPHN発症率が有意に低下したと報告されています。
こんなときは早めに相談を
次のような場合は、神経ブロックを積極的に検討するタイミングです。
- 発症早期から強い痛みがある
- 夜眠れない
- 鎮痛薬が効かない
- 高齢者
- 糖尿病など神経障害リスクがある
「そのうち治る」と我慢してしまうと、
痛みが慢性化する可能性があります。
“つらい”と感じた時点が、最も重要な治療のタイミングです。
神経ブロックのメリット
✔ 痛みの即時軽減が期待できる
✔ PHNへの移行リスク低減
✔ 内服薬の減量による副作用軽減
✔ 日帰り・外来で可能
✔ 保険診療内で実施可能
痛みが和らぐことで、
睡眠・食事・活動量が改善し、回復力そのものが高まります。
「痛みは我慢するもの」ではありません
帯状疱疹の痛みは、決して軽視してよいものではありません。
しかし同時に、
「適切な時期に適切な治療を行えば、変えられる痛み」でもあります。
神経ブロックは特別な治療ではなく、
ペインクリニックでは日常的に行われている標準的治療のひとつです。
「もう少し早く相談していれば…」
そう後悔しないために。
帯状疱疹の痛みがつらいと感じたら、
できるだけ早い段階で専門医にご相談ください。
まとめ
- 帯状疱疹の痛みは神経の炎症によるもの
- 発症早期の強い痛みはPHNにつながる可能性
- 神経ブロックは慢性化予防に有効な選択肢
- 早めの一手が、未来の生活の質を守る
参考文献
- Makharita MY, El Bendary HM. Effect of early epidural blockade on the incidence of postherpetic neuralgia. Pain Physician. 2009;12(2):287-293.
- 日本ペインクリニック学会. 帯状疱疹後神経痛診療ガイドライン(2019年版)

