「肩がズキズキして夜に目が覚める」
「腕が肩より上に上がらない」
「そのうち治ると言われたけれど、いつまで続くの?」
このような症状がある方は、五十肩(凍結肩:adhesive capsulitis)の可能性があります。
五十肩は自然に改善することもありますが、炎症が強い時期に適切な治療を行うことで、回復期間が短縮する可能性があると報告されています1,2)。
五十肩とは?|症状と特徴
五十肩は40〜70代に多い、肩関節包の炎症と拘縮を主体とする疾患です。
主な症状
- 夜間痛(特に寝返りで目が覚める)
- 腕が上がらない・後ろに回らない
- 着替えや洗髪が困難
- 徐々に動きが固まる
発症頻度は一般人口の2〜5%とされ、糖尿病をお持ちの方では有病率が高いことも知られています1)。
五十肩の進行ステージ
五十肩は一般に3段階で進行します。
| 病期 | 特徴 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 急性期(炎症期) | 強い痛み・夜間痛 | 2〜9か月 |
| 拘縮期 | 痛み軽減・可動域制限 | 4〜12か月 |
| 回復期 | 徐々に改善 | 6か月〜2年 |
※自然経過でも改善は期待できますが、1〜2年以上続く例もあると報告されています2)。
放置するとどうなる?
- 慢性的な睡眠不足
- 仕事・家事パフォーマンス低下
- 可動域制限の固定化
- 回復まで長期化
特に急性期に強い炎症を放置すると、その後の拘縮が強くなる可能性があります。
五十肩と間違えやすい疾患
以下の疾患は治療方針が異なります。
- 腱板断裂
- 石灰沈着性腱炎
- 変形性肩関節症
- 頚椎由来神経痛
そのため、X線・超音波(エコー)検査などの画像検査での評価が重要です。
急性期治療のポイント|まず「炎症を抑える」
「痛くても動かさないと固まってしまうのでは?」
と心配される方は少なくありません。
しかし、炎症が強い急性期では、無理に動かすことがかえって痛みを悪化させる場合があります。
この時期に最も大切なのは、まず炎症と痛みをしっかりコントロールすることです。
痛みが落ち着くことで、夜間痛が改善し、睡眠が確保でき、結果的にその後のリハビリもスムーズに進みやすくなります。
主な治療選択肢
- NSAIDsなどの内服
- 外用薬
- 物理療法
- 肩関節内ステロイド注射
- ハイドロリリース
- 肩甲上神経ブロック
- 腋窩神経ブロック
肩関節内ステロイド注射のエビデンス
複数のRCTおよびメタ解析では、
- 短期(2〜6週)の疼痛軽減
- 可動域改善
- 夜間痛の緩和
が示されています2,3)。
特に炎症期早期での投与は有効性が高いと報告されています3)。
当院での特徴
- 超音波ガイド下で安全に施行
- 解剖学的に正確な位置へ投与
- 即効性を期待して治療
治療介入のタイミングと回復イメージ

急性期に炎症を抑えることで、
痛みのピークを低く抑えられる可能性があります。
リハビリは「時期に合わせて」
- 急性期:安静+痛み軽減
- 拘縮期:徐々に可動域訓練
- 回復期:可動域の拡大、筋力強化
無理なストレッチは悪化の原因になることもあります。
受診の目安
- 夜間痛で眠れない
- 腕が肩より上に上がらない
- 痛みが3週間以上続く
- 日常生活に支障がある
- 不安が強い
まとめ|「痛い!」は治療開始の時期
五十肩は自然に改善することもあります。
しかし、
炎症が強い今こそ、治療効果が期待できる時期でもあります。
「いつ治るのか分からない」という不安を抱え続けるよりも、
一度状態を評価し、適切な治療を選択することが、回復への近道になる可能性があります。
気になる症状があれば、早めにご相談ください。
参考文献
- Zreik NH, et al. Adhesive capsulitis of the shoulder. BMJ. 2016;354:i4162.
- Challoumas D, et al. Comparison of treatments for frozen shoulder: A systematic review and meta-analysis. JAMA Netw Open. 2020;3(12):e2029581.
- Carette S, et al. Intraarticular corticosteroids for adhesive capsulitis. N Engl J Med. 2003;348:1099–1107.
ペインクリニック芦屋ピッコロ診療所は西宮市、芦屋市、神戸市東灘区地域で肩関節治療の外来を行っています。

