「頭がズキズキするけれど、いつもの市販薬で何とかなる」
「病院に行くほどではない気がする」
片頭痛に悩む多くの方が、こうした思いで日常をやり過ごしています。
しかしその裏で、頭痛が少しずつ増え、薬が効きにくくなっていることはありませんか?
片頭痛は、単なる「頭の痛み」ではありません。
脳が過敏になっている状態であり、対処を誤ると慢性化してしまうことが知られています。
片頭痛とは? ― 脳が「過敏」になっている病気
片頭痛は、脳の三叉神経が過敏になることで起こります。
この神経が刺激されると、CGRPなどの炎症性物質が放出され、血管のまわりに軽い炎症が生じます。
その結果、
- ズキズキとした拍動性の頭痛
- 光や音、においがつらい(光過敏・音過敏)
- 吐き気、動くと悪化する
といった症状が現れます。
つまり片頭痛は、
👉 「痛みが出たから薬を飲む」だけでは対処として不十分なことがある、脳の過敏性が増してしまう状態なのです。
市販の頭痛薬(OTC薬)だけで対処してもよい?
発作が月に1〜2回程度で、
「市販薬を飲めばすぐに落ち着く」
この場合、OTC薬での対処が問題ないことが多いです。
しかし、次のような変化が出てきたら注意が必要です。
- 頭痛の回数が増えてきた
- 薬を飲んでも効きが悪くなってきた
- 月に10日以上、頭痛薬を飲んでいる
この状態は、薬物使用過多頭痛(MOH)に進行している可能性があります。毎日頭痛が続く、という状態に陥らないようにしなくてはなりません。
薬を飲みすぎると、なぜ頭痛が増えるのか
痛み止めの薬は、片頭痛の原因そのものを治しているわけではありません。
あくまで一時的に、「痛みを感じにくくしている」対症療法です。
そのため、
「頭痛が出る → 痛み止めを飲む」
という対処を繰り返していると、片頭痛の発作そのものが抑えられているわけではなく、痛みが軽く感じられている状態が続くことになります。
この間も、脳の中では片頭痛の原因となる神経の過敏性が持続しています。
さらに、痛み止めを頻繁に使うことで、本来は痛みを抑える役割を担っている脳のブレーキ機能が徐々に疲弊していきます。
すると、
- 少しの刺激でも頭痛が起こる
- 薬が効きにくくなる
- 「飲まないと不安」になる
という悪循環に陥ります。
これが薬物使用過多による頭痛です。
👉 市販薬の安全な目安は「月10日以内」
週2回以上飲んでいる場合は、受診を検討するタイミングです。
「眠くなる頭痛薬」にも注意が必要です
日本のOTC頭痛薬には、
アリルイソプロピルアセチル尿素という鎮静成分が含まれているものがあります。
この成分は、
- 強い眠気
- 集中力の低下
- 依存性の懸念
が指摘されており、
米国FDAやEUでは一般用医薬品として承認されていません。
車の運転や仕事・勉強への影響もあり、
常用には注意が必要な成分です。
片頭痛は「予防療法」でコントロールできる時代
次のような場合は、予防療法を考える時期です。
- 片頭痛が月4回以上ある
- 薬を使う日が月10日を超えている
- 痛みで寝込んでしまう、嘔吐がある
予防療法とは、
👉 「痛みが起きてから止める」のではなく、「起きにくくする」治療です。
現在は、
- β遮断薬
- 抗てんかん薬
- 抗CGRP抗体薬
- CGRP拮抗薬
など、科学的根拠に基づいた治療が選択できます。
特に抗CGRP抗体薬は、
片頭痛の原因物質そのものを抑える治療として注目されています。
片頭痛は「我慢する病気」ではありません
片頭痛は、生活の質(QOL)だけでなく、
仕事の生産性や家庭生活にも大きな影響を与えます。
日本では、片頭痛による社会的損失は
年間約2,800億円以上とも報告されています。
これは「怠け」や「体質」の問題ではなく、
きちんと治療すべき疾患であることを示しています。
まとめ|市販薬で抑え続ける前に、一度ご相談ください
- 月1〜2回の軽い片頭痛 → OTC薬で様子見も可
- 回数が増えた、薬が増えた → それは受診のサイン
片頭痛は、
「痛みを抑える」から「起こさない」治療へ
大きく進化しています。
「いつものことだから」と我慢せず、
今の頭痛の状態に合った治療を一緒に考えてみませんか。

