対象疾患
Disease
対象疾患
Disease
頭痛のために楽しみにしていた予定をキャンセルしてしまう、仕事が手につかなくなる、仕事を休んでしまう、せっかくの休日が台無しになる、そんな経験をしたことはありませんか?
~頭痛の心配がない毎日を目指して第一歩を踏み出しましょう~
典型的な片頭痛では強い頭痛と吐き気が起こります。片頭痛は頭痛発作による疾病負担(仕事ができない、家族との時間を犠牲にしてしまう)だけではなく、片頭痛発作間欠期(頭痛がないとき)の疾病負担も報告されています。片頭痛の方は「仕事の日に頭痛が起こったらどうしよう。」、「人との約束の日に頭痛が起こったらどうしよう。」といった悩みを抱えています。
片頭痛は発作的に起こり、4時間から72時間、頭痛が続きます。片頭痛では同じような症状の頭痛が間欠的にに起こります。適切な治療を行うことにより、① 頭痛の回数を減らす、② 頭痛の程度を軽くする、③ 頭痛薬で片頭痛の症状を抑えることができる、といったことが期待できます。
2 . なぜ片頭痛が起こるの?
簡単に言い換えると、片頭痛は脳や顔面の感覚神経が一時的に赤く腫れ上がることにより、頭の血管が脈打つだけでもズキズキとした頭痛を感じてしまうという状態です。肌荒れした部位に塩を塗り込むことを想像してください。それと似たようなことが起こっていると考えられています。
現在のところは、何らかの刺激(天候の変化、気圧の変化、強い音や光の刺激、睡眠不足や寝すぎ、特定の食べ物、ホルモンの周期)によって三叉神経という頭部の感覚を司る神経からCGRP、サブスタンスPなどの炎症物質が放出され、その結果、血管壁の透過性亢進、血漿蛋白の流出、血管拡張など神経原生炎症が起こり片頭痛が引き起こされると考えられています。
いずれにせよ一つの原因→頭痛という単純なことで片頭痛が起こっているわけではなく、様々なカスケードが関与しているようです。
片頭痛には特徴的な症状があります。
ただし、片頭痛の方でも①~⑥の特徴に当てはまらない方もいます。例えば、両側に頭痛が起こったり、頭痛の症状が締め付ける感じであったり、といったことです。頭痛が起こると生活への支障が大きい、という方の頭痛は片頭痛がもっとも考えられます。
頭痛が起こった時の治療として最も使用されているのはアセトアミフェン、NSAIDs(ロキソプロフェン、イブプロフェンなど)などの鎮痛薬、トリプタン製剤です。近年、ラスミジタン(レイボー®︎)という薬も上市されました。以前はエルゴタミン(クリアミン®︎)という薬が広く用いられていましたが副作用などのため最近はあまり処方されていません。
※トリプタン製剤:スマトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、ナラトリプタン
※トリプタン、ラスミジタンとも副作用があります。担当の医師、薬剤師の説明をきちんと受けてください。
◾️鎮痛薬
最も広く用いられています。片頭痛だけではなく身体の様々な部位の痛みにも有効です。たくさんの薬があり、さらに薬ごとに特徴があるため適切に選択する必要があります。
◾️トリプタン製剤
スマトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタン、 ナラトリプタンといった製剤が使用されています。片頭痛が起こる原因となる部分に作用し、片頭痛を根本から治します。薬ごとに効果の強さや効果が出てくるまでの時間、効果が持続する時間が異なります。担当の医師とよく相談して、薬を飲むタイミングを含めて、自身の片頭痛の特徴に最適な薬を処方してもらうようにしましょう。
◾️ラスミジタン(レイボー®︎)
2022年に発売された薬です。トリプタンと同じように片頭痛の原因となる部分に作用します。トリプタンとの違いは、頭痛が起こってから4時間以内の内服で効果があること、脳の血管を収縮させる心配がないので脳血管障害のリスクがある方も使いやすいこと、です。その他、内服後24時間後の頭痛消失の持続効果が高いことが報告されています(MONONOFU試験)。
片頭痛の発作時の特徴として頭痛とともに嘔気がつらい、ということがあります。適切なタイミングでトリプタンやラスミジタンを内服することで頭痛と嘔気の消失が期待できます。嘔気どめの薬を同時に内服することもあります。
月に2回以上 片頭痛が起こる場合は予防療法を取り入れていきましょう。適切な急性期治療薬を使用しても日常生活に支障をきたす片頭痛発作が起こるのであれば、頭痛の頻度が少なくても予防療法を行っていただくことで頭痛症状の軽減が期待できます。月に10回以上片頭痛発作が起こるのであれば、頓服薬の効果が弱くなってくる可能性、連日性頭痛に移行する可能性があるので、積極的に予防療法を行いましょう。
予防療法は①予防薬の内服、②CGRP関連抗体薬、③神経ブロック注射などを日常生活の見直しとともに進めていきます。
片頭痛予防薬を使用することで、片頭痛発作の起こる回数を減らす、もしくは頓挫薬(頭痛を抑える薬)でより良い効果を得ることが期待できます。
CGRP関連薬は片頭痛を引き起こす三叉神経の興奮を起こりにくくすることで片頭痛を予防します。片頭痛の引き金となる根本的な部位をブロックします。眠気や倦怠感などの副作用はありません。従来の片頭痛予防薬は自動車運転に影響が出るものが多いのですが、本剤は自動車運転に差し支えありません。
CGRP関連薬の有効性ですが、エムガルティ、アジョビ、アイモビークの3剤いずれも頭痛日数が50%以上減る50%反応率がおおよそ半分、全く頭痛がなくなってしまう100%反応率が1割くらいと報告されています。当院では50%反応率が7割でした。頭痛日数が減少する方の多くが投与初月に頭痛回数が減っており、みなさま遅くとも3か月以内に頭痛が減っていました。
心身の状態によって頭痛回数が増えてくることがあります。特に、頭痛が月に15日以上の頻度で3ヶ月を超えて起こり、月に8日以上で片頭痛の特徴を持っているものを慢性片頭痛と呼びます。慢性片頭痛になると生活への支障度が大きくなってきます。治療については適切な予防療法をじっくりと行っていくことが大切です。場合によっては数ヶ月から数年間、地道に治療に取り組む必要があります。
2021年に日本疼痛学会など痛み専門の国内学会で定められた用語です。身体のどこかに痛めた部分はなく、神経や脳の損傷が無いのに、とにかく常に痛い、という状態です。神経系のセンサーの誤作動で起こるのではないかと考えられています。元来は片頭痛の症状のみだったのに重い締め付けらる頭痛が起こる、片頭痛で定義されている72時間を超えてもダラダラと頭痛が続くといったことが起こります。治療については適切な予防療法をじっくりと行なっていくことが必要です。
片頭痛の治療は有効性の高い薬が上市されてきたので、頭痛の回数・程度を抑える予防療法、起こった頭痛を軽快させる頓挫療法とも薬物療法に目が向きます。しかし、妊娠や授乳、副作用などで内服できない、そもそも薬など飲みたくない、という方もいると思います。
片頭痛を起こりにくくする、頭痛で困らないようにする対策としては
頭痛が起こった際の対処としては
が挙げられます。
睡眠の充実と頭痛の発生の関連性については数多くの報告を認めます。当院では、安易に睡眠薬を処方するのではなく、睡眠を障害する要因を探り、より快適な睡眠をしていただくことで片頭痛の状態改善に努めています。
もちろん、偏りのない栄養バランスのとれた食事が重要です。3食、なるべく決まった時間に食事を摂りましょう。適切な量のビタミン、ミネラルも頭痛の予防に有効です。
※ 栄養素は不足でも過剰でも心身にトラブルを引き起こします。
① マグネシウム:大豆、アーモンド、玄米など
② DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸):イワシ、サバなどの青魚
③ ビタミンB2:肉類(とくにレバー)、牛乳・乳製品、卵など
④ ビタミンB12:魚介類、藻類、肉類、卵類、乳類など
・片頭痛は遺伝するの?
→ 片頭痛の診断では家族歴も考慮します。一部の片頭痛は引き起こす遺伝子が特定されています。
・片頭痛は4~72時間 続くといわれるが、72時間経っても頭痛が続いている。
→日常生活が困難になるほどの頭痛発作が72時間以上続く場合を片頭痛発作重積とよびます。
適切な治療をすることで症状がおさまってきます。ただし、いつもと異なる頭痛発作が起こった時は二次性頭痛(脳卒中、腫瘤、全身性の病気など何かのトラブルがあって頭痛が起こること)が起こっていないかを画像検査、血液検査などできちんと除外しなくてはいけません。
・片頭痛があると脳梗塞になりやすいのか?
→前兆のある片頭痛(頭痛の前にキラキラが見える、体が動かなくなるなどの前兆がある)がある場合、経口避妊薬や喫煙によって脳梗塞を起こす危険性が高くなると報告されています。
・低気圧がくると、雨が降ると、台風が近づくと片頭痛が起こるのか?
→天候や気温の変化を感じ取って片頭痛が起こる方もいます。ただ、何が片頭痛発作の引き金になるかはそれぞれにより異なります。自身の頭痛の特徴を知ることが大切です。
片頭痛なら、芦屋ピッコロ診療所にお任せください。神戸からもアクセス便利です。
腰痛、頭痛、肩、膝痛などの整形外科疾患の治療を得意としています。
神戸市東灘区、西宮市、苦楽園、尼崎市からもアクセスが便利です。甲南山手・夙川からも沢山ご来院頂いてます。