「こめかみがズキズキする」「吐き気で横になるしかない」「光や音がつらい」――
片頭痛は単なる頭痛ではなく、生活の質(QOL)を大きく下げる神経疾患です。日本では約840万人が片頭痛に悩んでいると推定されており、働き盛り世代や女性に多いことが知られています¹)。
本記事では、片頭痛発作が起きたときの対処法を
- 薬を使わずにできること
- 薬を正しく使うポイント
- 避けたい薬の使い方
- 医療機関を受診すべきサイン
の4つの視点で、医療機関としての立場からわかりやすく解説します。
まずは薬を使わずにできること
静かで暗い環境に移動する

片頭痛は光・音・においなどの刺激で悪化しやすい特徴があります。
できるだけ静かで暗い場所に移動し、横になりましょう。
✔ アイマスク
✔ 遮光カーテン
なども有効です。
頭や首を「冷やす」

片頭痛では三叉神経系の活性化と血管拡張が関与しています²)。
こめかみ・後頭部・首筋を冷やすことで症状が軽くなることがあります。
※温めると悪化する方もいるため注意。
カフェインを少量

コーヒー1杯程度のカフェインには血管収縮作用があります。
発作のごく初期であれば症状が和らぐ場合があります。
⚠ ただし常用や過量摂取は逆効果
⚠ 毎日の大量摂取は「薬物乱用頭痛」の原因になります³)
薬を使うときの「正しいタイミング」
NSAIDsは「軽いうち」に
アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどのNSAIDsは頭痛症状を抑えてくれる作用が期待できます。
片頭痛にはトリプタン
トリプタンは片頭痛特異的治療薬で、三叉神経血管系に作用します²)。
発作の始まりに使うことが最大のポイントです。
頭痛が始まってから1時間以内に内服することが大切です。痛みがピークになってからでは十分な効果が得られません。
市販薬に潜む「鎮静成分」に注意
一部のOTC頭痛薬には、以下の鎮静成分が含まれています。
| 成分名 | 作用 | 注意点 |
|---|---|---|
| ブロモバレリル尿素 | 鎮静 | 依存・眠気・海外で販売中止例 |
| アリルイソプロピルアセチル尿素 | 鎮静 | 長期連用で認知機能低下リスク |
これらは痛みの原因を抑える薬ではなく、「眠らせる」作用です。
厚生労働省も安全性情報を出しています⁴)。
また、鎮痛薬の使用が月10~15日以上になると
薬物乱用頭痛(MOH)のリスクが高まります³)。
片頭痛を悪化させる誘因
以下の因子が知られています。
- 低気圧・天候変化
- 睡眠不足/寝すぎ
- 空腹・脱水
- 月経周期
- 赤ワイン・チョコレートなど
頭痛ダイアリーの活用して頭痛の状態を把握することが推奨されています²)。
鍼灸・漢方という補完療法
近年、補完療法として鍼灸や漢方を希望される方も増えています。

自律神経調整や血流改善を目的とした施術で、予防的に有効な症例も報告されています²)。
すぐ受診すべき危険な頭痛
以下の場合は速やかに医療機関へ。
- 今まで経験したことのない激しい頭痛
- 手足のしびれ・ろれつ困難
- 視野障害
- 発熱・意識低下
- 50歳以上で初発
くも膜下出血や脳梗塞などの可能性も否定できません。
まとめ
片頭痛は
✔ 早めの対処
✔ 正しい薬の使い方
✔ 使いすぎないこと
が重要です。
「市販薬が効かない」
「毎月何度も繰り返す」
「仕事に支障が出ている」
このような場合は、予防療法の適応かもしれません。
片頭痛は適切な治療でコントロール可能な疾患です。
つらさを我慢せず、ぜひ専門医にご相談ください。
参考文献
- Sakai F, Igarashi H. Prevalence of migraine in Japan. Cephalalgia. 1997;17(1):15-22.
- 日本頭痛学会. 慢性頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院; 2021.
- 日本頭痛学会. 薬物乱用頭痛(MOH)診療ガイドライン. 2013.
- 厚生労働省. 医薬品成分に関する安全性情報.
ペインクリニック芦屋ピッコロ診療所は西宮市、芦屋市、神戸市東灘区地域で頭痛専門医が頭痛外来を行っております。
