― 炎症ともやもや血管(異常血管)という視点 ―
「レントゲンでは軽度と言われたのに、膝の痛みがなかなか良くならない」
このような悩みを抱えている方は、決して少なくありません。
早期の変形性膝関節症の膝の痛みはレントゲンに写る骨の変形だけでは説明できないことが多く、
その背景には「膝関節周囲の炎症」や「もやもや血管(異常血管)」が関与している可能性があります。
この記事のポイント(SUMMARY)
- 軽度の変形性膝関節症(KL分類 I〜II)でも痛みが強く出ることがある
- 膝の痛みには、関節内の炎症や「もやもや血管」が関係している場合がある
- 炎症や異常血管に着目した治療が、痛み改善の選択肢になることがある
変形性膝関節症とKL分類について
変形性膝関節症は、骨の変形の進行度を
KL分類(Kellgren–Lawrence分類)で評価します。
KL分類 I〜II(軽度)の特徴
- 骨の変形はごく軽度
- 関節の隙間は比較的保たれている
- レントゲン上は「まだ軽い」と判断されやすい
しかし、
「変形が軽度=痛みも軽い」とは限らない
という点が、膝の痛みを難しくしている要因です。
レントゲンでは分からない「炎症」という問題
膝の痛みは、
- 軟骨のすり減り
- 骨の変形
だけでなく、関節内外の炎症や周囲組織の変化が関与していることがあります。
その中でも重要なのが、滑膜(かつまく)の炎症です。
滑膜炎が膝の痛みを引き起こす仕組み
滑膜とは、膝関節の内側を覆う薄い膜で、
関節液を分泌し、関節の動きを滑らかに保つ役割を担っています。
滑膜炎が起こる原因
- 歩行や立ち上がり動作の繰り返し
- 階段昇降などの日常動作による負担
- 小さな刺激の積み重ね
これらにより、滑膜に微小な炎症が生じる状態を滑膜炎と呼びます。
滑膜炎による主な症状
- 動き始めの膝の痛み
- 膝の腫れぼったさ
- 長く歩いた後の違和感
レントゲンで「軽度」と言われても、
日常生活ではつらい痛みが続く理由の一つです。
炎症が続くと増えてくる「もやもや血管(異常血管)」
滑膜炎のような炎症が慢性的に続くと、
体は修復反応として新しい血管を作り出します(血管新生)。
この過程で増えてくるのが、
- 細く未熟な血管
- 形が不規則
- まとまりがない血管
これらは画像検査で「もやもや」と見えることから、
「もやもや血管(異常血管)」と呼ばれています。
もやもや血管が膝の痛みに関与する理由
問題なのは血管そのものではありません。
重要なのは、異常血管の周囲に痛みを感じる神経が入り込みやすいという点です。
炎症が続くことで起こる変化
- 痛みを伝える神経が増える
- 炎症を持続させる物質が集まる
その結果、
- 少し動かしただけで痛む
- 安静にしていてもズキズキする
- 天候や疲労で痛みが変動する
といった、コントロールしにくい膝の痛みが生じやすくなります。
なぜ「軽度」なのに痛みが強いのか
KL分類 I〜IIでは、
- 骨の変形はわずか
- 関節構造は比較的保たれている
一方で、
- 関節内の炎症
- もやもや血管
が痛みの主因になっているケースが少なくありません。
そのため、
「まだ軽いから様子を見ましょう」
「年齢のせいですね」
と言われ、炎症の評価が十分に行われないまま
痛みを我慢している方も多いのが現状です。
炎症ともやもや血管が生む「悪循環」
膝の炎症と痛みを放置すると、次のような悪循環に陥ります。
- 膝に負担がかかる
- 滑膜に炎症が起こる
- もやもや血管が増える
- 痛みを感じやすくなる
- 動かすのが怖くなる
- 筋力低下・関節の不安定化
- さらに膝に負担がかかる
この循環が続くことで、
軽度だった変形性膝関節症が進行してしまう可能性もあります。
軽度の段階だからこそ「炎症」に目を向ける
軽度の変形性膝関節症では、
- 変形の程度だけを見る
のではなく、 - 関節内に炎症が起きていないか
- もやもや血管が痛みに関与していないか
という視点で膝の痛みを捉えることが重要です。
保存療法の中にある治療の選択肢
保存療法には、
- 炎症を抑える治療
- 異常血管にアプローチする治療
- 運動療法・リハビリ
など、複数の選択肢があります。
症状や生活背景に合わせて治療を組み合わせることで、
膝の痛み改善につながる可能性があります。
🔍 こんな方は一度ご相談ください
- レントゲンでは軽度と言われたが痛みが続く
- 注射や薬だけでは改善しない
- できるだけ手術は避けたい
膝の痛みは「年齢のせい」「仕方ない」と我慢せず、
炎症という視点から見直すことが大切です。

