60歳以上の3割に腱板断裂が見つかる時代。 しかし痛みがあるのはそのうち約3割だけ。

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60歳以上の3割に腱板断裂が見つかる時代。 しかし痛みがあるのはそのうち約3割だけ。

2025年12月 1日

MRI・関節の超音波検査が進歩して腱板断裂の診断が容易にできるようになりました。

  • 60歳以上の3割の方に腱板断裂をみとめます。
  • しかし、腱板断裂があっても痛みがあるのは、そのうち3割くらいといわれています。(腱板断裂を起こしている全員が肩の痛みを訴えるわけではない)
  • 治療は手術が第一選択になるのでしょうか?


60歳以上の3割の方に腱板断裂が見つかる時代。しかし痛みがあるのはそのうち約3割だけ。

MRIで「断裂」と言われたとき、考える手術と保存療法の選択について考えたいと思います。

「MRIで腱板が切れていると言われました」
「もう治らないのでしょうか?」
「手術が必要ですか?」

肩の痛みで受診し、画像検査の結果"腱板断裂"と聞くと、多くの方が驚き、不安を感じると思います。

しかし近年の研究では、60〜70代の約3割以上に腱板断裂が見つかることが分かってきました。つまり、腱板断裂は珍しい病気ではなく、年齢とともに多くの方に起こる変化のひとつと考えられます。す。

そして、より重要な事実があります。腱板が切れていても、必ず症状が出るわけではありません。

実際には、断裂が確認された人のうち痛みや動きの制限を感じるのは約3割程度と報告されています。

つまり、「断裂=治療すべき病気」ではなく、「生活に支障があるかどうか」が治療の判断軸になる、という考えが大切です。

腱板断裂とは?

腱板(ローテーターカフ)は、肩の奥にある4つの筋肉と腱の総称で、

  • 肩関節を安定させる
  • 腕を滑らかに動かす
  • 挙げたり回したりする動きをサポートする

といった役割があります。

腱板断裂の原因には、

  • 加齢変化(最も多い)
  • 長年の使用による摩耗
  • 転倒やスポーツなどの外傷

などがあります。

特に高齢者では、「知らないうちに腱板が切れていた」というケースが多く、症状が出ないまま生活している人も多くいます。

つまり、画像で断裂が見つかった=すぐ手術、ではありません。

断裂がある=痛みがある」ではない事実

腱板断裂でよく誤解されるのが、腱板が切れている=痛みがでる・腕が上がらない

というイメージです。

しかし実際には、の60歳以上の約3割が断裂ありそのうち症状があるのは約3割と報告されています。

つまり、60歳以上の方を30人集めると、10人に腱板断裂を認めて、腱板断裂が見つかった10人中、症状があるのは約3人だけ、ということです。

MRIは重要な検査ですが、画像だけを見ると必要以上に不安が強くなることがあります。

腱板断裂の治療選択:保存療法と手術、その境界線

腱板断裂の治療は、大きく保存療法(手術なし)と手術に分かれます。

① 保存療法が向いているケース
以下に当てはまる場合、多くは保存療法が選択肢になります。

  • 痛みが強くない
  • 腕がある程度挙がる
  • 物を持つ力が保たれている
  • 日常生活に大きな支障がない
  • 手術を急ぐ理由がない

保存療法には、

  • リハビリ(肩甲骨・ローテーターカフの機能改善)
  • 腱板の炎症を抑える内服薬
  • 炎症が強い場合の注射

が含まれます。

リハビリの目的は、腱板断裂そのものを治すのではなく、肩の使い方を整え、代わりに働く筋肉を強化し、痛みを減らすことです。

②手術を検討するサイン

次の項目が複数当てはまる場合、手術が選択肢に入ります。

  • 数ヶ月以上症状が続く
  • 夜間痛が強く睡眠に支障がある
  • 力が入らず、生活動作が困る(洗濯物・カバンを持てない)
  • 外傷性(転倒・スポーツで突然発症)
  • 年齢が比較的若い/活動性が高い
  • 断裂が大きく、進行リスクが高い

手術後のリハビリも治療の一部であり、回復には数ヶ月単位での取り組みが必要です。

治療に迷ったら...判断軸は「症状と現状の生活」

治療選択を迷う場合、次の視点で整理すると判断しやすくなります。

  • 痛みの程度
  • 生活への影響(夜ねむれるか?、日中の動作はどれだけできるか?)
  • 腕がどこまで上がるか
  • 断裂サイズと年齢
  • 治療への意欲と生活目標

画像だけでも、自己判断だけでもなく、「医師との相談で決める」ことが大切です。

まとめ

腱板断裂は、年齢とともに多くの人に起こる変化です。

  • 断裂があるから、すなわち手術が必要 というわけではない
  • 「症状と生活の困りごと」を基準に治療を選ぶ

という考え方が重要です。

もし肩の痛みや不安が続く場合は、まず、「適切な医療機関に相談し、自分の肩の状態を知ること」から始めましょう。

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