お知らせ
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2025年11月25日
・片頭痛では、脳の過敏性が増している状態です。
・根本的な治療は、過敏性を鎮めるトリプタンなどの内服です。いわゆる鎮痛薬は、痛みに鈍感になることで頭痛を感じなくなりますが、根本的な治療ではありません。
・鎮痛薬の内服回数が多いと脳の過敏性が常に起こっている状態になり、頭痛回数が増えてきます。適切な予防療法で頭痛をおさえましょう。
片頭痛の発作が月に1〜2回で、痛みも軽く、市販の頭痛薬(OTC薬)で頭痛が落ち着く場合、すぐに医療機関を受診しなくても問題ないことが多いでしょう。
しかし、発作の回数が増えてきたり、薬を飲んでも効きづらくなってきたりしたら、
それは"脳が過敏になってきているサイン"かもしれません。
片頭痛は単なる頭の痛みではなく、脳の神経が興奮しやすくなっている状態です。OTCの痛み止め内服をくり返すだけでは、根本的な改善にはつながりません。
片頭痛は、何らかの刺激が引き金となっておこります。脳の血管のまわりにある三叉神経が過敏になり、神経から放出される炎症性物質(CGRPなど)によって血管周囲に軽い炎症反応が起こることで発症します。
その結果、血管の拍動が痛みとして感じられ(ズキズキとした拍動性頭痛)、さらに神経の感受性が高まるため、光・音・におい・動きなどの刺激をつらく感じやすくなります(光過敏・音過敏・悪心など)。
つまり、片頭痛は脳が刺激に対して過敏に反応している状態なので、鎮痛薬で痛みを一時的に抑えたとしても、過敏になった神経が落ち着かなければ、またすぐに片頭痛が起こってしまいます。
頭が痛くなったときに、薬局で買えるOTC薬(イブ、ロキソニン、バファリンなど)を使う人は多いと思います。
これらは一時的な痛みには効果的ですが、使い方を誤ると逆に頭痛を悪化させることがあります。市販薬を月に10日以上使うと、「薬物使用過多頭痛(MOH:Medication Overuse Headache)」というタイプの頭痛を引き起こすリスクが高まることがわかっています【2】。
鎮痛薬内服の安全な目安は、月10日以内の使用。週に2回以上頭痛薬を飲むようになったら、要注意です。
痛み止めを頻繁に使うと、脳の「痛みを抑える神経」が疲れてしまい、
逆に「痛みを感じる神経」が過敏になります【3】。
その結果、ちょっとした刺激やストレスでも頭痛が起こるようになってしまいます。
この状態になると、薬の効き目も弱まり、
「飲んでも効かない」「飲まないと不安」という悪循環に陥ります。
これが薬物使用過多頭痛(MOH)です。
日本のOTC頭痛薬の中には、「アリルイソプロピルアセチル尿素(Allylisopropyl acetylurea)」という鎮静成分が含まれているものがあります。
これは、痛みとともに不安や緊張を抑える目的で加えられていますが、強い眠気や集中力の低下を起こすことがあります【6】。
さらに、この成分は海外では未承認・禁止の国が多いのです。
アメリカのFDA(食品医薬品局)やEUの医薬品庁(EMA)は、
安全性のデータが不足しており、依存性の懸念があるとして承認していません【7】【8】。カナダやオーストラリアでも同様に、一般用医薬品への使用は認められていません。
日本では販売されていますが、国際的には慎重に扱われる成分なのです。
眠気が出やすく、車の運転や勉強にも支障が出るため、常用は避けたほうがよいでしょう。
頭痛の時には寝込んでしまう、嘔吐があり、生活に支障をきたす
このようなときは「片頭痛の予防療法」を検討しましょう。
予防療法とは、発作を減らすために、あらかじめ薬を使う治療法です。
特にCGRP関連薬は、片頭痛の原因物質そのものをブロックすることで、
発作の回数・強さを半分以下に減らす効果があると報告されています【9】。
「痛みを止める」から「痛みを起こさない」治療へ
今の医療機関での片頭痛治療は、痛み止めでの対処から根本改善を目指す方向に進化しています。
片頭痛は個人の苦しみだけでなく、社会全体にも大きな影響を与えます。
日本頭痛学会の報告では、片頭痛による年間の経済的損失は約2,880億円。
これは、仕事を休む「欠勤」だけでなく、痛みをがまんして働く「プレゼンティーイズム(生産性の低下)」を含めた数字です【10】。
片頭痛を適切に治療し、予防することは、社会的にも大きな価値があるのです。
片頭痛の発作が月に1〜2回なら、市販薬で対処してもかまいません。
しかし、発作が増えたり、薬を飲む日が月10日を超えたるするようになったら、
それは"薬の限界"のサインです。
片頭痛は脳の神経が過敏になっている状態です。
痛みを一時的に抑えるだけでは根本的な解決になりません。
「痛みを減らす」「発作を防ぐ」予防療法が、次のステップです。
参考文献
10. 日本頭痛学会. 「片頭痛による社会的損失の試算」. 頭痛学会報. 2023年.
