子どものお箸の使い方、体育・ボール運動の苦手さを発達の視点で考える

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子どものお箸の使い方、体育・ボール運動の苦手さを発達の視点で考える

2025年12月29日

― 運動神経やセンスのせいではない、体の使い方の仕組み ―

「そのうちできるようになると思っていたけれど......」

  • お箸が上手に持てない

  • 小学生になっても、体育の時間が苦痛

  • 中学生・大人になっても、ボール投げが苦手

こうした悩みは、子どもの頃だけのものではありません。多くの場合、「自分は不器用だから」「運動センスがないから」と、性格や才能の問題として諦めてしまいがちです。

しかし、医療やリハビリテーションの視点から見ると、そこにはまったく別の理由が見えてきます。

「発達」は、時間の経過だけで進むものではありません

「発達=年齢とともに自然に身につくもの」と思われがちですが、実はそうではありません。

体の使い方の能力は、「どのような順番で、どんな質の経験を積んできたか」というプロセスの影響を強く受けます。

  • 体をどう使ってきたか

  • どんな順番で経験してきたか

  • 「できた!」という実感を伴う体験があったか

これらの経験が、その人に合った形で整理されないまま年齢だけが進むと、どれだけ時間が経っても「苦手さ」として残ることがあります。それは、家の基礎(土台)が未完成のまま、上の階を建てようとしている状態に似ています。

なぜ「うまくいかない」が起こるのか?

苦手さの背景には、体の各機能がスムーズに連動していない状態が隠れています。

  • 体幹の不安定さ: 体の中心がグラついているため、手足に余計な力が入ってしまう。

  • 認識のズレ: 目では見えているのに、対象物の形や動きを脳が正確に捉えきれない。

  • 距離感の掴みにくさ: 相手やボールとの距離を、体感として捉えるのが難しい。

これは、「やる気」や「運動神経」の問題ではありません。動作の土台となる「感覚と動きをつなぐ準備」が、まだ整っていないだけなのです。

整理されにくいまま残りやすい「3つの力」

特に以下の3つの力が未整理だと、大人になっても苦手意識が続きやすくなります。

  1. 自分の位置を知る力(深部感覚) 手足が今どこにあり、どう動いているかを把握する力です。ここが不安定だと、ボールとの距離が測れず、反射的に体が逃げたり、極端に力んでしまったりします。

  2. 見たものを動きに変える力(視覚運動協調) 「見た動きを、自分の体で再現する」のは高度な技術です。「見て、理解して、動く」という連携がスムーズでないと、頭ではわかっていても体が動かない、という現象が起きます。

  3. 複数の情報を同時に処理する力(同時処理) ボール運動は「周りを見る」「タイミングを図る」「体を動かす」を同時に行います。この処理がパンクしてしまうと、恐怖心や「ついていけない」という感覚が強まり、経験を避けるという悪循環に陥りやすくなります。


未来へのメッセージ:土台はいつからでも整えられます

ボール運動や細かい作業が苦手なのは、あなたが「運動音痴」だからでも「センスがない」からでもありません。発達の途中で、体の使い方を整理する機会が十分ではなかっただけなのです。

「苦手」は、心と体を守るための防衛反応でもあります。自分を責める必要はありません。

体の使い方は、何歳からでも、適切なアプローチによって整え直すことが可能です。

私たちが目指すのは、無理に「完璧」にさせることではありません。まずは、あなたが、あるいはお子様が、「できるだけ動かしやすい身体」を一緒に育てていくことです。

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