夏の暑さと片頭痛 ~気温と気圧の変化にご用心~

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夏の暑さと片頭痛 ~気温と気圧の変化にご用心~

2025年7月29日

「最近、頭痛がひどくて......」「夏になると毎年つらくなるんです」
一般的に、頭痛といえば冬や梅雨などの低気圧の季節を想像されがちですが、実は夏も片頭痛に悩む方が急増する時期なのです。
では、なぜ夏にも片頭痛が起こりやすいのでしょうか?
片頭痛の本質は「脳の血管の異常な拡張」と「三叉神経系の過敏な反応」と言われています。そこに、夏が影響を与えます。

強烈な日差しと光過敏

片頭痛患者の多くは「光過敏」という特徴を持っています。強い光やまぶしさが、頭痛の引き金になるという人も少なくありません。
真夏の太陽は、紫外線も可視光線も強烈。屋外に出るたびに刺激される視覚神経が、三叉神経を経由して片頭痛の神経回路を活性化させてしまうのです。
特に、ビルの反射光や車のフロントガラスのギラつき、プールの水面のキラキラは見落とされがちですが、片頭痛にとっては非常に厄介な存在です。

気圧の「わずかな変化」に敏感な人も

「低気圧で頭が痛くなる」という話はよく聞きますが、実は夏の天気でも注意が必要です。

晴天が続く夏でも、台風の接近や急な夕立、フェーン現象などによって気圧が急変することがあります。
片頭痛患者はこの「変化」に極めて敏感で、わずか2~3hPaの低下でも症状を訴えるケースがあります。

冷房も"敵"になる?

一方で、猛暑を避けて室内に避難しても、そこに落とし穴があります。それが「冷房による冷えと気温差」です。
片頭痛持ちの方は、寒暖差による血管の急激な反応にも弱いことが知られています。外の猛暑と冷房の効いた室内との温度差が5~10度もあると、身体の恒常性が追い付かず、自律神経のバランスが崩れてしまいます。
「室内で涼んでいたのに、逆に頭が痛くなった」という声も少なくありません。

片頭痛対策:夏だからこそ意識したい5つのポイント

夏の片頭痛を予防・緩和するためには、以下のようなポイントを日常生活に取り入れることが大切です。

  1. こまめな水分補給→ 汗で失われた水分と塩分を適切に補う。ミネラル入りの経口補水液などが有効。
  2. 直射日光・強い光を避ける→ 外出時には帽子・サングラスで光刺激から目と脳を守る。
  3. 気圧・天気アプリで変化を事前察知→ 台風や夕立など、気圧変動の兆しを把握し、無理をしない。
  4. 室温は緩やかに調整→ 冷房は26~28℃を目安に、外との寒暖差を5℃以内に抑える。
  5. 規則正しい生活と十分な睡眠→ 寝不足や寝すぎは片頭痛の誘因に。毎日同じ時間に起床・就寝を意識。

頭痛は、決して「我慢するもの」ではありません。特に片頭痛は放置すると慢性化し、生活の質を著しく下げてしまいます。
夏の片頭痛が増える背景には、気温、湿度、気圧、光、脱水など、さまざまな環境要因が絡んでいます。
自分の片頭痛の「トリガー」を知り、避けられるものは避け、備えられるものは備える。その積み重ねが、快適な夏の暮らしにつながります。
もし夏に繰り返す頭痛に悩まれているなら、一度お気軽にご相談ください。

参考文献
Nierenburg, H. et al. "Migraine and the Environment: Triggers, Management, and Health Policy." Headache, vol. 62, no. 5, 2022, pp. 635-648.

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