「体の使い方」と「運動不足」が痛みを生む理由 ― 慢性的な腰痛・肩こり・膝痛を防ぐために

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「体の使い方」と「運動不足」が痛みを生む理由 ― 慢性的な腰痛・肩こり・膝痛を防ぐために

2025年10月11日

体の使い方が良くない、運動が少ないせいで体の痛みが出てくる

「腰が痛い」「肩がこる」「膝がつらい」― このような体の痛みを感じている人はとても多いと思います。関節などの"病気"や"けが"が原因のこともありますが、「体の使い方がよくない」「体を維持していくために必要な運動が少ない」という生活習慣なども大きく関係していることがわかっています。ここでは、なぜそれらが痛みにつながるのかを、わかりやすく整理してみます。

1. 姿勢や体の使い方と痛み

長時間のデスクワークで猫背になる、片方の肩にだけカバンをかける、スマートフォンを見るときに首を前に突き出す、こうした行動の習慣は、体のバランスを崩し、特定の部分に負担をかけます。骨や筋肉、靱帯は、本来は分担して体を支えますが、姿勢が悪いと一部分に過剰な力が集中し、痛みやこりの原因となります (1)。

また、体の組織は「つながって」動いています。股関節の動きが硬いと、その分を腰で補おうとして腰痛が出やすくなる、といった連鎖反応が起きます (2)。これは「運動連鎖」と呼ばれ、ある場所の不具合が全身に影響を及ぼすのです。

2. 運動不足が招く体の弱まり

運動不足は世界的にも健康問題の一つとされており、筋肉や関節の弱まりを引き起こします。筋肉は使わなければ衰え、関節の動きも小さくなります。すると日常生活のちょっとした動きでも負担が大きくなり、痛みを感じやすくなります。

研究でも、運動習慣のない人は腰痛や肩こりなどの慢性的な痛みを感じる割合が高いと報告されています (3)。日本では特に高齢化が進んでおり、筋肉の減少(サルコペニア)や体を動かす力が落ちる状態(ロコモティブシンドローム)が問題になっています。これらは転倒や寝たきりのリスクだけでなく、痛みの背景にも深く関わっています。

3. 痛みが長引く悪循環

痛みが長引くと「体を傷めたのでは?」と心配になり、動くことを避けがちです。しかし、動かさないことで筋力や柔軟性がさらに低下し、ますます痛みが出やすくなります。これを「痛み‐不活動スパイラル」と呼びます。

さらに最近の研究では、痛みが続くことで脳や神経が「痛みに敏感になる」状態になることがわかってきました (4)。この状態では、わずかな刺激でも痛みを強く感じてしまいます。つまり、体だけでなく脳も痛みの慢性化に関わっているのです。

4. 改善のためにできること

慢性的痛みを予防・改善するためには、痛みに対する適切な治療を行い、そのうえで体の使い方を見直し、日常生活に少しずつ運動を取り入れることが大切です。

姿勢を整える

 デスクワークの際に椅子や机の高さを調整して、長時間でも正しい姿勢を保ちやすい環境を作りましょう。

運動を習慣にする

 ウォーキング、ストレッチ、筋力トレーニングなど、自分に合った運動を続けることが大切です。研究でも、定期的な運動は腰痛などの慢性痛をやわらげる効果があると報告されています (5)。

痛みに対する考え方を変える

 「動くと悪化するのでは」と過剰に恐れると、さらに不活動につながります。専門家による認知行動療法では「少しずつ体を動かすことで回復できる」という考え方を取り入れ、前向きに活動を広げることが効果的だと示されています (6)。

 

5. まとめ

体の痛みは単なる「老化」や「体質」だけではなく、普段の体の使い方や運動不足と深く関係しています。悪い姿勢や動きのクセは筋肉や関節に余計な負担をかけ、運動不足は体を弱らせ、痛みを起こしやすくします。さらに痛みが長引くと、動かないことで悪循環が強まり、慢性化してしまいます。

適切な機関で痛みを引き起こす疾患のコントロールができている場合は「動かすと悪化する」、のではなく、「動かさないと動けなくなる」と考えたほうがよいかもしれません。

だからこそ、日常生活の中で「体を正しく使うこと」「少しでも動くこと」がとても大切です。大きな運動でなくても、毎日の小さな工夫が痛みを減らし、健康寿命を延ばす第一歩になります。

 

参考文献

 

O'Sullivan PB. Diagnosis and classification of chronic low back pain disorders: maladaptive movement and motor control impairments as underlying mechanism. Best Pract Res Clin Rheumatol. 2005;19(4):557-576.

 

Sahrmann S. Diagnosis and Treatment of Movement Impairment Syndromes. St. Louis: Mosby; 2002.

 

Heneweer H, Vanhees L, Picavet HS. Physical activity and low back pain: a systematic review of recent literature. Eur J Pain. 2011;15(8):775-781.

 

Woolf CJ. Central sensitization: implications for the diagnosis and treatment of pain. Pain. 2011;152(3 Suppl):S2-15.

 

Hayden JA, Van Tulder MW, Malmivaara A, Koes BW. Exercise therapy for treatment of non-specific low back pain. Ann Intern Med. 2005;142(9):765-775.

 

Nicholas MK, Molloy AR, Tonkin LE, Beeston L. Manage your pain: practical and positive ways of adapting to chronic pain. Pain. 2011;152(3 Suppl):S99-S106.

 

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