動かない体は、静かに老いていく

2025年10月27日

「最近、出かけるのが面倒になってきた」
「つまずくことが増えた」
「体が重く感じる」

そんな変化を感じたことはありませんか？
それは、"このままでは歩けなくなる"という身体からのサインかもしれません。

脳と体を一緒に使うことが、健康寿命を延ばすカギ

人の身体は「使わなければ衰える」ようにできています。
筋肉も神経も脳も、日々の動きを通して保たれています。
しかし現代社会では、便利さの代償として、「歩く」「立つ」「手を伸ばす」といった当たり前の動作が減り、知らず知らずのうちに"動かない生活"が進行しています。
その結果、体だけでなく脳の働きまでもが衰えていくのです。

動かない時間が、脳と体を静かに老化させる

筋肉量は20代をピークに減少し始め、とくに太もも・お尻・体幹の筋肉は、使わなければ毎年1〜2％ずつ失われるといわれています。
これが「つまずきやすい」「疲れやすい」といった変化の正体です。

さらに深刻なのは、筋肉だけでなく"脳の運動指令ネットワーク"も衰えること。
脳は動作のたびに姿勢やバランス、手足の位置を瞬時に解析し、最適な動きを選んでいます。
ところが、動かない生活が続くと脳は「この動きはもう不要」と判断し、神経回路の一部を使わなくなります。
その結果、「動きを調整する力」や「反応速度」「空間認識力」までも低下し、転倒などのリスクが高まります。

つまり、"動かない生活"こそが、脳と身体の老化を同時に進行させる最大の要因なのです。

脳と体を同時に鍛える ― VRリハビリ「mediVRカグラ」

近年、リハビリ医療の分野で注目されているのが、VR（バーチャルリアリティ）を活用したリハビリです。
その代表的な機器が「mediVRカグラ」です。
カグラでは、仮想空間の中で手を伸ばしたり体を傾けたりといった動作を通じて、視覚・聴覚・体性感覚を同時に刺激します。
たとえば、前方に現れたターゲットを素早く取るという一見シンプルな動作の中に、脳の空間認知・注意力・反応速度・姿勢制御といった複雑な神経活動が詰まっています。そのため、カグラは「認知機能」と「運動機能」を同時に鍛え、身体を動かしやすくなるボディイメージを改善します。
ゲーム感覚で楽しく取り組めるため、リハビリに抵抗のある方でも継続しやすく、実際に歩行能力・集中力・姿勢制御の改善が報告されています。
また、パーキンソン病や脳卒中後の方でも、脳の「再学習（リトレーニング）」を促す効果が期待されています。

体を支える「ピラティス」― 内側の筋肉を目覚めさせる

VRで脳と動きを再教育しながら、同時に取り入れたいのがピラティスです。
ピラティスは「体の中心（コア）」、すなわち腹部・背部・骨盤まわりの深層筋（体幹筋）を意識的に使うトレーニング。
これらの筋肉は、姿勢を支え、動作の安定性を生み出す重要な役割を果たします。

体幹が働くことで、肩や膝、腰への負担が減り、スムーズに動ける"しなやかな体"がつくられます。
また、ピラティス特有の呼吸法やゆったりした動作は、自律神経を整え、心身のリラックスにも効果的です。
最近では、こうした運動や姿勢トレーニングが脳の神経機能を活性化する可能性も報告されています。

「動くこと」が、あなたの健康年齢を決める

平均寿命が延びた今こそ、注目すべきは"健康寿命"です。
自立して生活できる期間を延ばすには、運動機能と認知機能の維持が欠かせません。

脳と体を協調的に使うトレーニングは、バランス・集中力・反応速度を高め、転倒や認知症の予防につながります。
さらに、体幹を鍛えることで姿勢や動作が安定し、「疲れにくく動ける体」を長く保つことができます。
動きを通じて脳を刺激し、体を再教育すること―その積み重ねが、何歳からでも"もう一度動ける体"をつくります。

 脳と体を一緒に動かすことが、未来の健康を守る

運動不足は、筋肉だけでなく脳をも老化させます。
しかし、脳も体も、何歳からでも再び鍛え直すことができるのです。

動くことは、最も確かな治療であり、最良の予防。
今日の一歩が、10年後のあなたの健康を支えます。

"さあ、脳と体を一緒に動かす習慣を、今から始めましょう。"

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