発疹が出ない帯状疱疹 ― 見えない病気の落とし穴

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発疹が出ない帯状疱疹 ― 見えない病気の落とし穴

2025年8月14日

帯状疱疹」と聞くと、多くの方は皮膚に赤い発疹や水ぶくれが帯のように現れ、激しい痛みを伴う病気を思い浮かべるでしょう。
しかし、皮膚に何の変化も現れない帯状疱疹が存在します。
それが 「無疹性帯状疱疹(Zoster sine herpete:ZSH)」 です。

なぜ怖いのか

ZSHは、原因ウイルスや体内での進行は通常の帯状疱疹と同じです。
子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが、何年も神経の奥で眠っており、免疫力の低下などをきっかけに再び活動を始めます。
違うのは、皮疹が全く出ないこと。
見た目に変化がないため、自分でも病気に気づかず、受診が遅れやすいのです。

放置するとどうなる?

発疹が出てこなくても帯状疱疹が起こっています。早期に治療できないと、ウイルスは神経を傷つけ続け、長引く痛みや神経の機能障害を引き起こすことがあります。

  • 長期間続く耐えがたい痛み(帯状疱疹後神経痛)
  • 顔の片側が動かなくなる(顔面神経麻痺)
  • めまい・声が出しにくい・飲み込みにくい(脳神経障害)
  • 手足のしびれ・麻痺(脊髄炎)
  • 髄膜炎や脳炎
  • 視力低下や失明(眼の合併症)

これらは適切な治療が遅れるほど回復しにくくなるため、初期対応が何より重要です。

気をつけたい症状

ZSHの初期症状は、体の片側に限って出る鋭い痛みやしびれです。
「ズキズキ」「ピリピリ」とした電気が走るような感覚が多く、触れるだけで痛むこともあります。
顔や耳の痛み、口の中の違和感、原因不明の頭痛やめまいが長引く場合も要注意です。

ポイントは「片側だけ」という特徴。
このサインを見逃さないことが大切です。

診断と治療

見た目に異常がないため、診断に苦慮することがあります。

VZV DNA PCR検査(髄液や血液からウイルス遺伝子を検出)

抗体検査(VZVに対する抗体価の変化を確認)
などが帯状疱疹を疑う際に行われますが、検査結果がわかるまでに時間を要するため治療を優先することがあります。

治療は通常の帯状疱疹と同様、抗ウイルス薬(最近はバラシクロビル、アメナメビルなど)をできるだけ早く開始します。

「発疹がないから、帯状疱疹ではないだろう」と自己判断してしまうのが、ZSHが怖い理由のひとつです。
特に、高齢者・糖尿病・がん治療中・免疫抑制薬の使用中など、免疫力が下がっている方は発症リスクが高まります。
不安な症状があるときは、ためらわず医療機関を受診してください。

予防の選択肢

50歳以上の方、または免疫が低下している方には、帯状疱疹ワクチンが予防に有効です。
発症を防ぐだけでなく、もし発症しても重症化や合併症のリスクを大きく減らせます。
ワクチン接種については主治医にご相談ください。

まとめ

  • 無疹性帯状疱疹は皮疹がないため気づきにくく、診断が遅れやすい。
  • 放置すると後遺症や重い合併症を残す危険がある。
  • 片側だけの強い痛みやしびれは、受診のサイン。
  • 早期の抗ウイルス治療が予後を左右する。
  • 予防にはワクチンという選択肢がある。

「見えない帯状疱疹」に要注意。

皮膚に変化がなくても、神経の中でウイルスは進行しています。
気になる症状があれば、早めの受診をしましょう。

参考文献

Zhou et al. (2020)、Yang (2023)

帯状疱疹のおじさん HP.jpg

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